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四川料理とは

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四川料理とは

四川料理とは

2022/08/25

 四川料理というと、すぐさま辛い料理というイメージが想起されますが、辛さにもいろいろあって、四川料理の辛さは「麻(マー)」という漢字で表現される痺れるような辛さです。湖南料理のような「辣(ラー)」という字の意味する、火が出るよう辛さとは異なり、後からスーッとするような清涼感のある辛さが特徴です。インド料理などと同様に、”HOT"というよりも”SPICY”という辛さ。

 

 四川料理は、狭義には中国四川省の料理、広義には、もともと四川省の一部であった重慶市、さらには雲南省や貴州省などの周辺地域を含め、共通の特徴を持つ郷土料理の系統を指します。四川料理には、酸(酸味)、辣(辛味)、麻(痺れ)、苦(苦味)、甜(甘味)、香(香り)、鹹(塩味)の7つの味のうち、特に痺れるような辛さを意味する「麻辣」を特徴とします。「三椒」と呼ばれる3種類の香辛料、すなわち「辣椒」(唐辛子)、「花椒」(山椒)、「胡椒」が重用されます。ただし、四川省に唐辛子が伝来するのは明朝末期のことです。

 

 唐辛子やトマトなど、ナス科の植物の原産地は、アンデス山脈の麓といわれており、コロンブスがアメリカ大陸を発見し、ナス科の植物の種がヨーロッパに持ち込まれ、次いで東西貿易によってアジア大陸に伝わってくるまでは、イタリア料理にトマトはなく、中華料理やタイ料理に唐辛子はなかったのです。トマト抜きのイタリア料理とか、唐辛子のない中華料理や韓国料理というと奇妙な感じがしますが、どの国の料理も、外来の生物や文化の影響をさまざまに受けながら、改良に改良を重ねて進化してきたものなのですね。

 

 四川省の料理に、中国他の地域と比べて香辛料を多用する辛い料理が多い理由は、四川省の成都が盆地で湿度が高く、その気候に順応するために、唐辛子に含まれるカプサイシンという成分の発汗を促進するという効能が、人々の健康を維持するために役立つからだという説があります。インド料理やタイ料理と同様に、高温多湿の地域ならではの、食の工夫が見られるということなのでしょう。

 

 宴会などでは、逆に、砂糖を大量に使用した極端に甘い料理が辛い料理と交互に供されます。大陸であることを反映して、伝統的な料理というと、野菜や獣肉、穀類が主体としたものがほとんどですが、近年では、冷凍技術の発達と普及の結果、海産物を素材とする料理も加えられるようになりました。

 

 代表的な料理として、①麻婆豆腐、②担々麺、③回鍋肉、④棒棒鶏、⑤宮保鶏丁、⑥魚香肉絲、⑦酸辣湯、⑧辣子鶏、⑨青椒肉絲などがあります。

 

①麻婆豆腐の起源は諸説ありますが、清の同治帝の治世(1874年~)成都の北の郊外の万福橋で陳興舗を営む陳森富の妻の劉が、ありあわせの材料で来客(労働者)向けに作ったのが最初というのが、いちばん有名な説です。陳劉の顔にはあばた(麻点)があったため「陳麻婆」と呼ばれていたことから、彼女が作る名物の豆腐料理も「陳麻婆豆腐」と呼ばれたということです。清の周詢は『芙蓉話旧録』に、「北門の外に陳麻婆という者がおり、豆腐をうまく料理する。豆腐代に調味料や調理代も含めて一碗の値段は八文。酒や飯も売っており、もし豚肉や牛肉を入れたければ、客が持参するか、或いは、代金を支払って用意してもらうことも可。店の屋号を知る者は多くはないが、陳麻婆といえば知らぬ者はいない。そこまで町から4~5里あるが、食べに行く者は遠くても気にしない。」と記しています。中華料理のメニューの中でも人気の高いこの料理は、栄にある中華料理店のほとんどの店のメニューに載っているばかりでなく、この料理の専門店も存在するほど有名になりました。

 

②担々麺は、1841年頃、四川省の自貢市の陳包包というあだ名の男が考案して、成都で売り歩いていたといわれています。天秤棒の片側に豆炭を使う七輪と鍋を、もう一方の側に麺、調味料、食器、洗い桶などを吊るして担いで歩いていました。鍋は真ん中に仕切りがあり、片方には具を、片方には湯を入れていました。温かく、辛い麺を出したのがうけて流行ったようです。本場の中国では、日本でいうところの「汁無し担々麺」が食べられています。もともと天秤棒を担いで売り歩く料理ですので、スープを大量に持ち歩くことは困難であったので、汁無しになったと考えられます。日本で使われる汁椀、乃至は御飯茶碗くらいの小さな碗に入れて売られており、一碗当たりの量は少ないです。小腹がすいた時に食べる中国式ファーストフードの一種といってよいのでしょう。

 

③回鍋肉は、中国本土のものと日本のものとでは、かなり違います。本場四川における回鍋肉は、茹でるか蒸すかした豚肉の塊を薄切りにして、野菜には蒜苗(そんみょう、葉ニンニク)を使います。味付けも唐辛子や豆板醤を多用した辛味の強いもので、日本人の好みに合うとは言い難いものです。日本の回鍋肉は、四川省出身の料理人、陳建民が蒜苗をキャベツに代えて、味付けも甜麺醤を多めに使用して甘辛く仕上げ、また、手間を省くために、最初から薄切りにした豚肉(皮なし)を使うレシピを考案し売り出したものがそのまま定着して、一般的な回鍋肉となったものです。

 

④棒棒鶏の「棒」は、焼いた鶏肉を柔らかくするために棒で叩いたことからつけられたとされています。包丁は使わずに、鶏肉を手で裂いて細かくして作っています。中国では胡瓜など他の具を加えないのが一般的で、味付けも、四川料理らしく、唐辛子の辛みを利かせた独特のものです。日本ではクラゲや胡瓜を加えて胡麻風味のソースをかけたレシピで、これも、陳建民が日本人向けに考案したものです。

 

⑤宮保鶏丁は、鶏肉とピーナッツを唐辛子で炒めた、四川料理の中でももっとも有名な料理のひとつです。「丁」とはさいの目に切ったという意味で、「宮保」は、丁宝禎が好んだことに因んでのことと伝えられています。

 

⑥魚香肉絲の「魚香」は、中国語でも、文字通り「魚が香る」という意味ですが、魚介類を含んでいるわけでもなく、また、魚介類の料理に加えることも一般的ではありません。言い伝えによれば、かつて、この地域の、ある家庭で、この調味料を淡水魚に使っていたのですが、あるとき魚がなくなったので残っていたソースを肉料理の味付けに使ったところ、それが皆に好評だったことから「魚香」と名付けられたといいます。「魚香」の調合は、細かく刻んだ泡辣椒、白葱、生姜、大蒜で、これらをほぼ同量混ぜ合わせ、香りが出るまで油で揚げて作ります。

 

⑦四川、湖南地方のスープで、豆腐、椎茸、キクラゲ、筍、長葱、トマトなどの具材を食塩、醤油、生姜汁で調味し、たっぷりの酢と唐辛子(唐辛子の代わりに豆板醤や辣油を使うこともある)、或いは胡椒を加え、片栗粉でとろみをつけた後、解き玉子を流し込んで仕上げます。四川省の名物ということになっていますが、もともとは揚州のスープで、酢と胡椒だけを入れて作る、したがって、四川省のように辛くないものが原型であるという説もあります。

 

⑧辣子鶏は、鶏肉の唐揚げを大量の唐辛子と花椒、大蒜とともに炒めた料理で、重慶を起源とする料理ですので、「重慶辣子鶏」とも、「歌楽山辣子鶏」とも呼ばれます。

 

⑨この有名な豚肉料理は、古くから豚肉を調理していた福建料理に端を発するとも、四川料理を起源とするともいわれますが、現代では辛味よりも旨味を重視する広東風のものがポピュラーで、オイスターソースや紹興酒などを使って甘辛く料理されることが多いです。四川風のものは、豆板醤や醤油を使って辛味を利かせて調理されます。「青椒」とは。辛味を抜いて品種改良した唐辛子、ピーマンやししとうなど緑色の果実を指し、「絲(スー)」は細切りのことを指します。このように、中華料理の名前は、四字熟語でつけられることが多く、字を観ると、使っている素材や調理法が分かるというのが面白いですよね。

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