株式会社セイント

《茗圃》の名物料理 「腰果鶏丁」

  • instagram
お問い合わせはこちら 予約はこちら

《茗圃》の名物料理 「腰果鶏丁」

《茗圃》の名物料理 「腰果鶏丁」

2022/09/28

 「腰果鶏丁」は東南アジアで産出するカシュウナッツと鶏肉を炒めた、比較的あっさりした上品な味付けの料理。私は、てっきり「香港」生まれの料理とばかり思っていました。中国で唯一の国際都市「香港」には中国国内はもとより世界各国からさまざまな文化が流入し、それらが融合することによって新しい料理が誕生する素地があります。経済成長を背景に世界的にグルメ・ブームが沸き起こった1980年代に、共産化して国家主導の経済メカニズムに移行して以後、経済活動に対して個人のモチベーションが一向に上がらない(「鄧 小平」の経済政策が中国国民にその恩恵を享受せしめるには、しばらく時間がかかった)中国本土と対照的に、資本主義が機能している香港には腕に覚えのある料理人が集まり、「旨いものにならいくらでも金を出す」世界の食通相手にその技にさらに磨きをかけ、国際的に通用する水準まで昇華させていきます。香港には中国各地から、そして東南アジアやヨーロッパからも、中国の他の都市ではお目にかかれない素材や調理技法が持ち込まれ、新たに魅力的なメニューが開発されていきます。ペニンシュラ・ホテルが発祥とされる「マンゴ・プリン」や「白菜のクリーム煮」「エッグ・タルト」「海老マヨ」「鶏肉のポルトガル風煮込み」・・・、そうしたなかの一品として「鶏肉とカシュウナッツの炒め」が誕生したのだと認識していました。

 

 ところが、「鶏肉とカシュウナッツの炒め」は、なんとアメリカ合衆国で産声を上げたのだそうです。そもそもは「宮保鶏丁」という鶏肉とピーナッツと唐辛子を一緒に炒めた四川料理が原型とされています。

 

 四川料理が辛いのは、首都の成都が盆地で湿気が高いため、唐辛子に含まれるカプサイシンの効果によって発汗を促すのが健康に良いからであるという説がありますが、本場の四川料理はあまりに刺激が強く、日本人の嗜好に合いません。四川省出身の料理人「陳 建民」は1958年に台湾出身の「龍 智議」が新橋で開業した『四川飯店』の厨房に職を得ましたが、のちに独立する形で、赤坂に自分の店として『四川飯店』を出店、その成功を踏まえて六本木に2号店を開店しました。「陳 建民」は、外務省に外売(出張料理)をしていた頃は、主に宮廷料理を得意としていましたが、「四川飯店」では、庶民的な料理や四川料理以外のメニューも日本人の好みや台所事情に合わせてアレンジを加えたうえで供し評判となり、『四川飯店』は東京を代表する中華料理店として知られるようになります。「棒棒鶏」のタレをマイルドな胡麻風味にして胡瓜やクラゲと合わせるスタイルにしたのも、元来は汁無しの「担々麺」をスープ状の「担々麺」にアレンジしたのも、大蒜の茎を豚肉と炒めた辛味も塩味も強い「回鍋肉」を、キャベツと甜麺醤を用いて甘辛くして日本人にも食べやすい現在のレシピを考案したのも「陳 建民」でした。そうした功績によって、「陳 建民」は日本に於ける四川料理の父と称されています。

 

 同じようなことがアメリカ合衆国でもあったのでしょう。「宮保鶏丁」はアメリカ人には辛すぎるので、アメリカに渡った中国の料理人が唐辛子の量を減らし、ピーナッツの代わりにカシュウナッツを入れて供したところ人気メニューとなって、それが中国に逆輸入されたのでした。

 

 カシュウナッツはピーナッツに比べて品がよく高級感もあるために、「腰果鶏丁」は高級なレストランやホテルの中華料理店の定番商品として定着し、とりわけカシュウナッツの産地に近い香港では、多くの中華料理レストランがメニューに載せているために、あたかも広東料理のひとつであるかのように認知されています。《茗圃》でも「腰果鶏丁」は開店以来メニューに載せている定番料理のひとつ。鶏肉と数種類の野菜をカシュウナッツと同じくらいの大きさに小さく切り(「丁」というのは小さく切るの意)、それぞれの素材の味、香り、食感をお楽しみいただくために、あっさりとした味付けで仕上げています。アメリカ生まれの広東料理「腰果鶏丁」、その魅力を、地元の名古屋市中区栄にて、ご賞味ください。

----------------------------------------------------------------------
茗圃
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄2丁目12-22
電話番号 : 052-253-7418


----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。